Vol.30 かの有名なオスグッド・シュラッター病

「オスグッド・シュラッター病」、中学生の頃に経験されたとのこと、よくわかります。私もスポーツ雑誌でその名前を知り、膝の痛みに不安を感じて整形外科へ駆け込んだ経験があります。診断結果はやはりオスグッド・シュラッター病。あの頃の痛みを思い出すと、今でも少しだけ胸が締め付けられるような感覚があります。

スポーツ医学の教科書には、「成長期に骨の成長が筋肉の成長に追いつかず、筋肉が付着する部分が引っ張られて炎症を起こす」とあります。まさに成長期のジュニアアスリート特有の悩みですよね。

しかし、筋肉が骨に付着する部分(腱)が引っ張られて起こる問題は、オスグッド・シュラッター病だけではありません。剥離骨折もその一つです。筋肉や腱が硬くなり縮むと、骨への付着部に過度な力がかかり、様々な痛みや怪我の原因となります。

オスグッド・シュラッター病は成長期のアンバランスが主な原因ですが、それ以外にも、筋肉や腱の硬縮によって引き起こされる症状は多岐にわたります。つまり、成長期が終わった大人でも、筋肉や腱の柔軟性が不足していると、同様のリスクを抱えることになるのです。

では、どうすれば筋肉や腱の柔軟性を保てるのでしょうか?その答えはシンプルで、日頃からストレッチや筋膜リリースを行い、筋肉や腱を包む膜を柔らかくしておくことです。

筋膜リリースとは、筋肉を覆っている筋膜という組織を柔らかくすることで、筋肉の柔軟性を高める方法です。筋膜が硬くなると、筋肉の動きが制限され、痛みや不調の原因となります。

  • ストレッチ: 運動前後のストレッチはもちろん、日常生活でもこまめに行いましょう。
  • 筋膜リリース: フォームローラーやストレッチポールなどを活用し、全身の筋膜をリリースしましょう。
  • バランスの取れた食事: 筋肉や腱の修復に必要な栄養素をバランス良く摂取しましょう。
  • 十分な睡眠: 睡眠中に成長ホルモンが分泌され、筋肉や腱の修復を促します。
  • 適度な運動: 筋肉や腱に適度な刺激を与えることで、柔軟性を維持しましょう。

成長期の体は変化が大きく、痛みや不調を感じやすい時期です。しかし、日頃から体のケアを怠らなければ、怪我のリスクを減らし、パフォーマンス向上にも繋がります。

筋肉・腱の柔軟性は、ジュニアアスリートだけでなく、全ての人にとって重要な要素です。日頃から体の声に耳を傾け、適切なケアを行いましょう。柔軟な体は、あなたの未来を力強くサポートしてくれるはずです。

私も中学生の時に経験しましたね。膝蓋骨の下あたりが痛くなった。

たまたま、サッカー雑誌の記事に書かれていたので、「もしかしてオスグッドなんとかかな。」って思いながら、近所の整形外科に行きました。診断の結果は、オスグッド・シュラッター病

スポーツ医学のテキストには、「成長期になって、骨の発育が進んで、それに対して筋肉の発育がやや遅れるために、長くなった骨を、短い筋肉で引っ張るので、筋肉が付着している部分に炎症などが起こる。」と書いてあります。

今に至るまで、多くのジュニアアスリートが経験しますね。

オスグッド・シュラッター病だけではなくて、筋肉が骨に着いている部分、正確には筋肉はで骨につながっていますが、この部分が強くまたは頻繁に引っ張られる結果、炎症が起きたり損傷したりする例は色々とあります。剥離骨折も、筋肉と腱によって、骨に付着している部分が強く引っ張られて起きるケースが多いのでは。

特に、筋肉や腱が硬くなって縮むと、こうしたケースが起きやすくなるでしょう。オスグッド・シュラッター病は成長期における骨と筋肉の発育のアンバランスに因るのですが、その他にも筋肉が硬縮つまり硬くなって縮んでしまって、その結果骨への付着部にテンションつまり引っ張る力が頻繁にかかってしまって発生する症状は様々。

なので、あちこちの筋も腱も、伸び縮みしやすい状態にしておくことは、とても大切です。

それには、言うまでもなく、筋や腱を包む膜をリリースする。

これですね。

筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)

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