Vol.18 柔軟性の正体

「前屈、小学校の時から苦手なんだよね…」

そう、あの体育の授業で誰もが経験した「立位体前屈」。床に手が届かなくて、恥ずかしい思いをした人も多いはず。大人になった今でも、ヨガやストレッチで前屈するとき、「体が硬いなぁ…」と感じること、ありますよね?

でも、ちょっと待って!前屈が苦手なのは、単に「体が硬い」せいだけじゃないかもしれません。今回は、あなたの柔軟性アップを邪魔している意外な原因と、美ボディに繋がる柔軟性UPの秘密を紐解いていきましょう!

昔は、前屈は「体の柔軟性」を測るもの、と思われていました。でも、実は、柔軟性には2つの要素が関係しているんです。

  1. 筋肉自体の伸びやすさ: これは、生まれ持った要素が大きく、10代半ばでほぼ決まってしまうと言われています。
  2. 伸展反射: 筋肉が伸びすぎないようにする、体の防御反応。

つまり、大人になってから前屈が出来るようになるのは、筋肉が柔らかくなったのではなく、この「伸展反射」が変化したから、と考えられていたんです。

でも、最近の研究で、もう一つの重要な要素が明らかになりました。それが、「筋膜」です。

筋膜とは、筋肉を包む膜のこと。この筋膜が硬くなったり、筋肉に癒着したりすると、筋肉の動きを邪魔して、柔軟性を低下させてしまうんです。

だから、ストレッチを頑張っても、なかなか前屈が出来るようにならない…。そんなあなたは、ぜひ「筋膜リリース」を試してみてください。

筋膜リリースとは、フォームローラーなどを使って、筋膜の癒着を剥がし、柔軟性を取り戻す方法です。筋膜リリースをすることで、筋肉の動きがスムーズになり、前屈が楽になるだけでなく、以下のような効果も期待できます。

  • 美脚効果: 腿裏の筋膜リリースで、脚のラインがスッキリ!
  • 腰痛改善: 腰周りの筋膜リリースで、腰の負担を軽減!
  • 姿勢改善: 全身の筋膜リリースで、美しい姿勢をキープ!

嫌いな人が多い、立位体前屈。床に腰を下ろして行う、長座体前屈も。

私たちの年代では、小中学校時代に、スポーツテストでやりましたね。腿の裏側が痛い・痛いって言いながら。反動をつけたりしてね。違反だけど、ちょっとでも良い記録を出そうとして。それで、時には筋肉痛になったり。

腰痛のリスクを調べるテストとして、クラウス・ウェーバーテストというのがあったのをご存じの方は、今やどれくらいおられるでしょうか。
その内容はというと、前屈と、上体そらしと、腹筋運動。

当時は、腰痛は柔軟性と腹筋の筋力に関係すると言われていました。
今でも、そのことを堅持している専門家もおられますね。

もちろん、関係はありますが、鶏が先か、卵が先かで。柔軟性が低下したから腰痛になったのか、腰痛があるから、柔軟性が低下したのか。

それと、柔軟性は高いのに、腰痛になる人も多くいます。体操競技や新体操の選手にも、かなり腰痛を持っている人がいます。
今や、腰痛が起きる仕組みは、色々と明らかにされてきています。

それはそれとして、柔軟性とはいかなるものかということが、知られているようで知られていないなという気がします。

私が学生だったか、大学院生だったかのころ、旧ソ連のスポーツやトレーニングの学者で、当時斬新な研究や学説を世に出していたV.M.ザチオルスキーの「スポーツマンと体力(邦題)」に、柔軟性は筋肉自体の伸展性と、筋肉の伸展反射によって決定する。筋肉自体の伸展性は、十代半ばで決まり、それ以後は向上しない。という内容が書かれていました。なので、十代半ば以降、前屈や開脚など、いわゆる柔軟性が向上するのは、伸展反射の起き方が変化するからなのだと。

これを目にした時、経験的な話しや、なんとなく体が柔らかいとか硬いとかいうのとはちがって、スポーツ科学の理論とはこういうものなんだ、と感じたのを覚えています。
ここで書かれていた筋肉自体の伸展性というのは、筋繊維がどれくらい伸展するかということでしょう。伸展反射は、いうまでもなく、筋繊維が伸ばされた時、その筋繊維が脊髄反射で短縮することを指します。特に、筋肉の両端にある腱にある腱紡錘が伸展の情報をキャッチして、脊髄に送ることによって起きます。

ストレッチング等を行って、この伸展反射がどれくらい筋繊維が伸展されたときに起き始めるか。この仕組みが変化して、その筋肉が引き伸ばされることに対しての、短縮の仕方が変わります。

十代半ば以降は、筋繊維自体の伸展性は向上しないと書きましたが、もしその筋繊維を包んでいる筋膜をリリースしたらどうでしょうか。

筋膜が筋繊維に付着した状態だと、筋繊維の伸展は邪魔されるのは、想像に難くないと思います。その付着している筋膜をリリースすると、当然伸展しやすくなるでしょう。

しばしば行われている様に、筋膜のリリースを行うと、例えば前屈が楽になる、よく曲がるようになる、とかはこのことが起きた結果ですね。
それは伸展反射の起き方が変化したのではないですね。
そして、リリースによって筋膜による束縛が減るということの方が、様々なメリットを生み出すと言えますね。

「体が硬いから…」と諦めていたあなたも、筋膜リリースで、理想の柔軟性と美ボディを手に入れましょう!
筋膜リリースは、自宅で簡単にできるので、ぜひ試してみてくださいね。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事 おすすめ記事
  1. 梅雨は“脾”が弱る季節?飼い主とペットに訪れる体調のゆらぎと対処法

  2. 犬のハァハァが止まらない本当の理由 クーラーだけじゃ防げない内熱とは?

  3. 「むくみ=水毒」の本質。春〜梅雨に要注意なおうちのこの体のサインとは?

  4. Vol.32 痛みと皮膚の深い~関係

  5. 免疫の70%は腸にある!ワンコの“脾”と腸を育てるごはん術

  6. 春はイライラ注意報?肝と季節、ワンコのストレスケア習慣

  7. ワンコの体質診断:陰陽でわかる未病予防と健康管理法

  8. Vol.31 心身一如

  9. 犬の腸と免疫は“脾”で整える?梅雨のだるさ・食欲不振に効く養生ケア

  10. ワンコの皮膚がベタベタする理由 東洋医学で読み解く“湿熱”とは?

  11. 落ち着きのないワンコは“肝”が疲れている?感情と筋肉をつなぐ東洋医学の視点

  12. 神経疲労の新常識 筋膜・循環を整える本当の“回復力”

  13. Vol.30 かの有名なオスグッド・シュラッター病

  14. 引っ張り癖・けいれん・目のトラブル…ワンコの“肝”ケア

  15. 将来、歩けるシニアに育てたい。今から始める“脾”ケア

  1. 筋膜と循環の関係とは?疲労回復と健康寿命に効果的な「メディセル」とは

  2. ワンコはお手入れが好き?嫌い?科学が教えるグルーミングのストレスと快適性

  3. 犬の腸と免疫は“脾”で整える?梅雨のだるさ・食欲不振に効く養生ケア

  4. Vol.10 トップアスリートの筋肉はフワフワ~。

  5. 犬のハァハァが止まらない本当の理由 クーラーだけじゃ防げない内熱とは?

  6. Vol.3 神経の疲労に注目

  7. 筋膜が格闘技を変える!怪我を防ぎパフォーマンスを高める秘密とは

  8. 【体験者の声】乳がん術後の健全な生活

  9. “おやすみ”のひとことで変わる。子午流注に寄り添う飼い主の愛

  10. 【体験者の声】二人でいつまでも元気に過ごせるって幸せ。

  11. ワンコの皮膚がベタベタする理由 東洋医学で読み解く“湿熱”とは?

  12. うちの子への “どうしたの?” は、あなた自身への問いかけだった…

  13. 肌と神経の深い関係 筋膜ケアとメディセルで心と体を整える美容循環術

  14. Vol.17 鵞足炎のお話

  15. ペットと飼い主のメンタルは連動している?心の繋がりが健康に与える本当の影響