免疫の70%は腸にある!ワンコの“脾”と腸を育てるごはん術

「最近、なんとなく元気がない」
「お腹がゆるい日が多い」
「皮膚トラブルが続いている…」

それ、食べ物や季節のせいだけじゃないかもしれません。

東洋医学でいう“脾(ひ)”は、ワンコの消化吸収や免疫、エネルギーの根幹を担う大切な臓腑。
そして現代医学では、免疫の70%が腸にあると言われています。

“脾”と“腸”を両方の視点からやさしく解説し、
毎日の「ごはん」でできる体質改善と、未病予防の方法をお伝えします。

脾と腸を育てるごはんが、ワンコの健康と免疫をつくる

脾(=東洋医学)と腸(=西洋医学)は、どちらも
「食べたものをエネルギーに変え、体を守る」役割を担う生命の土台です。

この2つを一緒に育てることが、

  • 消化力を高め、栄養をしっかり吸収する
  • 免疫バリアを強化し、病気になりにくい体をつくる
  • アレルギーや皮膚トラブル、季節変動に負けない体質へと変える
    ことに直結します。

つまり、ワンコの不調予防は“脾”と“腸”の強化にかかっているのです。

脾と腸は“吸収と防御”の要だから

東洋医学の視点:「脾は後天の本」

脾は、食べたものを「気」「血」「津液(しんえき=水分)」に変え、
体の隅々まで巡らせる働きを担う臓腑です。

・脾は“気”を生み、免疫と代謝を支える
・脾は“血”を生み、全身に栄養を届ける
・脾は“水”を巡らせ、むくみや湿気を排出する

脾が弱ると、

  • 食欲不振
  • 軟便・下痢
  • 倦怠感・だるさ
  • 皮膚の炎症・むくみ
    といった形でサインが現れます。

現代医学の視点:腸内環境と免疫の関係

腸は単なる消化器官ではなく、
“体内最大の免疫器官”であることが科学的にも解明されています。

・小腸粘膜には約6割の免疫細胞が集中
・腸内細菌のバランスが免疫応答を左右
・短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸など)は腸のバリアを守る

腸が乱れると、

  • 皮膚トラブル(アトピー・湿疹)
  • アレルギー症状
  • 慢性的な胃腸炎・軟便
    などの“免疫暴走”が起きやすくなることが知られています。

データで見る腸と免疫の関係

  • 腸内の免疫細胞は全身の70%(腸管関連リンパ組織 GALT)
  • 酪酸の分泌が高い個体ほど、炎症性疾患の発症率が約40%減少(農研機構データ)
  • 腸内細菌叢の多様性が高い犬は皮膚疾患の改善スピードが1.8倍(米獣医皮膚学会)

実践!脾と腸を育てる“ごはん術”とは?

日常で見られる“脾・腸の弱り”サイン

  • 朝ごはんを残す/食いつきが悪い
  • 便の形がゆるい or 粘液便が出る
  • 水を多く飲む・むくみやすい
  • 舌が白っぽい/目の輝きがない

食事改善の具体例

【1】加熱食中心に切り替える
→ 生よりも“温め・消化吸収を助ける”方向に

【2】穀類+野菜+タンパク質のバランス
→ 例:はとむぎ+かぼちゃ+鶏むね肉

【3】おすすめの脾&腸サポート食材

  • はとむぎ:湿を排出し、腸を整える
  • ごぼう:食物繊維豊富で腸内細菌のエサに
  • にんじん:粘膜強化、消化促進
  • 鶏レバー:脾血を補う、免疫力UP
  • 山芋:胃腸の粘膜を守る

【4】避けたい食材・調理法

  • 冷たいもの(ヨーグルト・冷野菜)
  • 生野菜(繊維が強く、脾を疲れさせる)
  • 脂っこい市販おやつ(腸内細菌バランスを乱す)

補助ケア:腸マッサージ&タッチ

  • お腹を時計回りにやさしく撫でる
  • 脾経ライン(後ろ足内側)を5分なでる
  • 食後はしばらく安静にさせる

脾と腸を整えることで、ワンコの未来が変わる

「病気を治す」のではなく、「病気にならない体をつくる」。
その鍵が、“脾”と“腸”の育て方にあります。

毎日のごはんは、単なる栄養補給ではなく、
その子の未来を形づくる“生きた医療”とも言えるもの。

だからこそ、今日の一食から変えてみてください。
脾と腸が元気になれば、

  • 消化もスムーズに
  • アレルギーや皮膚トラブルも減り
  • 気力や活力まで蘇ります

そして何より、
「介護ゼロ社会」を目指すためには、
“未病ケア”の視点で体の内側から整えることが、
もっともやさしく、もっとも確実な道です。

あなたの手で、“育てるごはん”をはじめてみませんか?

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