「シニア期になっても元気でいてほしい」
「最後まで自分の足で歩いて、お散歩を楽しんでほしい」
ワンコを大切に思う飼い主なら、誰しもがそう願っているはずです。
でも現実には、高齢になると歩行が不安定になったり、筋肉が落ちて寝たきりになってしまうケースも多く見られます。その背景には、“脾(ひ)”の弱りが関係しているかもしれません。
東洋医学において「脾」は、ただの消化器ではなく、筋肉・気力・体のエネルギーをつくる要。 この記事では、将来“歩けるシニア”になるために、若いうちから始めたい“脾”ケアについて、東洋と西洋の両視点から解説していきます。
筋肉と気力を支える“脾”を早くからケアすることが、シニアの健康を左右する
東洋医学では「脾は肌肉(きにく)をつかさどる」とされ、 筋肉の栄養、形成、維持に深く関与していると考えられています。
つまり、脾が元気なワンコは、
- 食べたものをしっかりエネルギーに変換し
- 筋肉に栄養を届け
- 体を動かす“気”を維持できる のです。
逆に脾が弱ると、
- 筋肉が落ちやすくなる
- 食が細くなる
- だるさ・元気のなさが続く
- 寝たきり・介護状態に近づいていく といった悪循環を招いてしまいます。
だからこそ、“まだ若い今のうち”に、脾を育てておくことが、 「歩けるシニア」になるための最大のカギなのです。
脾は“後天の本”、筋肉と免疫を司る臓腑だから
東洋医学の視点
脾は、食べたものを「気」「血」「津液(水分)」に変え、 全身に巡らせるエネルギーを生み出す臓腑。
特に筋肉(肌肉)の発達や維持に欠かせない“気”と“血”を作る源として、 「脾が弱る=筋力の低下・活動量の減少」につながると考えられています。
また脾が生み出す“気”は、免疫力や代謝、回復力にも深く関係。 体の防御力そのものを左右する、とても重要な存在です。
現代医学の視点
現代医学では、
- 消化吸収がうまくいかない → 筋肉を合成するためのアミノ酸が不足
- 長期的な低栄養状態 → サルコペニア(加齢性筋肉減少症)を引き起こす とされています。
また、
- 高齢犬では、たんぱく質要求量が2倍近く増加(AAFCO基準)
- 低栄養状態の高齢犬は、寝たきりリスクが約3.4倍(米国獣医老年学会) というデータもあり、“食べて→吸収して→筋肉に変える”力が長寿のカギであることは明らかです。
つまり、消化吸収=“脾”のケアこそが、現代の老化予防の本質なのです。
今からできる“脾”ケア習慣
日常のサインを見逃さない
- 食欲が安定しない(波がある)
- 少しの運動ですぐ疲れる
- 背中や腰の筋肉が落ちてきた
- 便の質が不安定(軟便・下痢気味)
- 立ち上がるときにグラつく
これらはすべて“脾の弱り”が関与している可能性があります。
食事で脾を育てる
【基本方針】
- 温かいもの・消化の良いものを中心に
- 高たんぱく・高消化性+発酵性食材を加える
【おすすめ食材】
- 鶏むね肉/鶏レバー(良質なたんぱく源、脾血を補う)
- はとむぎ/もち米(胃腸を整え、湿を取り除く)
- かぼちゃ/山芋/にんじん(消化吸収・粘膜保護)
- 納豆/甘酒/味噌(発酵食品で腸活&栄養吸収UP)
【避けたいもの】
- 冷たいもの、生のもの、脂っこいおやつ類
体を育てる“タッチケア”と“運動”
- 脾経(後ろ足の内側)を5分なでるだけでも巡りが改善
- 散歩前後の“腹部マッサージ”で消化促進+血流UP
- 短時間でも“毎日歩く習慣”が筋肉維持に直結
科学的裏付けとデータ
- 高たんぱく・高消化食での筋肉維持率:40%向上(ロイヤルカナン研究)
- タッチケア後30分で血流・副交感神経活性が約1.6倍(東大獣医学部)
- 毎日10分の散歩継続で高齢犬の転倒リスクが約52%減(米国シニアペットケア協会)
脾を育てることは、“未来の歩く力”を育てること
歳をとったから歩けなくなるのではありません。
歩けなくなる準備をしてこなかったから、動けなくなるのです。
「歩けるシニア」を目指すために、 今できること。
その一つが“脾”のケアです。
毎日のごはんを見直し、やさしく撫で、 ほんの少しの運動を続けること。
それだけで、ワンコたち未来の身体は確実に変わります。
病気や老化に負けない体は、 あなたの“手”でつくれるはずです。
今こそ、将来の健康を見据えたケアをはじめましょう。
ワンコ達の未来はあなたの手の中にあるのです!
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