梅雨は“脾”が弱る季節?飼い主とペットに訪れる体調のゆらぎと対処法

ジメジメとした梅雨の季節──

気分がなんだか重く、身体がだるくなる…。
そんな日が続いていませんか?実はこの「重だるさ」は東洋医学でいう「脾(ひ)」の働きが弱まっているサインかもしれません。そして驚くべきことに、飼い主のこうした体調のゆらぎは、ワンコやニャンコといったおうちのこにも影響しているのです。

「最近、愛犬がごはんを食べない」
「ニャンコがずっと寝ている」──

もしかすると、それは季節の変わり目にあなたの脾が弱り、その影響がおうちのこにも“伝染”しているからかもしれません。

本記事では、梅雨に弱りやすい「脾」の働きと、それがもたらす影響、そして飼い主とペットの双方が元気でいるための“季節に合わせたセルフケア”を徹底解説します。

梅雨は“脾”をいたわることが大切

梅雨の湿気は、東洋医学の観点から「脾」の働きを鈍らせ、消化力やエネルギー代謝に影響を与えます。飼い主が感じる倦怠感や食欲不振は、脾の乱れが原因であることが多く、ペットたちはその変化を敏感に受け取って不調を起こすことも少なくありません。

なぜ脾が弱ると不調になるのか

脾の役割と季節の関係

脾は「運化(うんか)」という働きを持ち、食べ物をエネルギーに変える中心的な臓腑です。東洋医学では「脾は土に属す」とされ、湿気に弱い性質を持っています。梅雨時期は湿気が多く、体内に余分な“湿”が溜まりやすくなるため、この運化がうまくいかなくなります。

その結果、

  • 食欲がない
  • 体が重い
  • 下痢やむくみ
  • 思考が鈍る(集中力低下)
  • 朝起きても疲れが取れていない といった症状が出やすくなるのです。

ペットへの影響

特に小型犬や老犬、そして猫たちは、飼い主のちょっとした変化にも敏感に反応します。あなたが「食欲ないな」「外に出たくないな」と感じるその雰囲気や生活リズムの変化が、そのままおうちのこの活動量や気力、体調に反映されてしまうのです。

また、動物も湿邪(しつじゃ)によって胃腸が冷えて消化が鈍くなり、吐いたり、軟便になったりするケースが多く見られます。これはまさに“脾虚”による典型的な症状。体調変化のサインを見逃さず、飼い主が「自分の不調」も照らし合わせることが重要になります。

具体例と対策

実例①

──食欲不振のミニチュアダックス 】 あるミニチュアダックスを飼っているご家庭。飼い主さんが梅雨の時期に毎年体調を崩すのですが、同時にワンコもごはんを残すように。病気ではなく、検査でも異常はなし。結果、飼い主さんが「湿に弱い体質」であることが分かり、食事や運動の見直しをしたことでワンコも元気を取り戻しました。

実例②

──寝てばかりのシニア猫在宅勤務が続き、飼い主がほとんど動かない生活に。高齢の猫は日光にも当たらず、部屋の湿気の中で静かに寝てばかりの毎日に。これを機に、午前中に窓を開けて一緒に日光浴をするようにし、飼い主がストレッチや気功を取り入れたところ、猫も以前のように活発に動き回るようになりました。

改善策

──飼い主が整えば、ペットも整う

梅雨の湿気からくる脾の乱れには、以下のようなセルフケアが効果的です。

✅ 朝の軽いストレッチや深呼吸(巡りをよくする)
✅ 食事に温性の食材(米、かぼちゃ、しょうが、なつめ、陳皮)
✅ 湿を排出する飲み物(ハトムギ茶、小豆茶、黒豆茶)
✅ 一緒に散歩に出かけて軽く汗をかく
✅ 室内は除湿器や炭、自然素材のラグで湿気対策
✅ ペットのフードも常温で。冷たい水や冷えた食事は避ける

こうした小さな積み重ねが、脾を守り、あなたとおうちのこの心身を健やかに保ってくれます。

まとめ

梅雨の季節に感じる不調は、身体からの自然なサイン。無理に打ち消そうとするのではなく、“気づいて調えていく”ことが大切です。東洋医学は「未病(みびょう)を防ぐ」ことを重視します。つまり病気になる前の段階で気づき、対処すること。

飼い主が「ちょっと疲れてるかも」「今、脾が落ちてるかも」と感じたその感覚は、あなたの身体の声であり、ペットにとっても見逃せないバロメーターです。

自分をいたわることは、ペットを守ることにもつながります。

私たちは日々、気圧、湿度、気温、感情といった“目に見えない波”の中で生きています。そして、それを一緒に浴びている存在が、おうちのこたちです。

あなたが少し無理して笑っているとき。疲れているのに休まずに動いているとき。ペットたちは言葉なくしてそれを“感じとり”、ときに体調に表してしまうことがあります。

だからこそ、まずはあなた自身の状態を優しく観察すること。
自分の声に気づくことが、もっともやさしいペットケアです。

梅雨の時期は、“休むことを許す季節”です。

食べたいものを選び、感じたままに動き、止まりたいときに止まる──
それが、あなたとおうちのこの「脾」を守るいちばんの方法です。

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