春はイライラ注意報?肝と季節、ワンコのストレスケア習慣

ぽかぽか陽気に誘われて、ワンコとのお散歩が楽しくなる季節――春。
でも実はこの時期、「いつもより落ち着きがない」「急に吠えるようになった」など、ワンコの行動に“変化”が出やすいタイミングでもあります。

その原因、もしかすると“肝(かん)”の乱れかもしれません。

東洋医学では「春は肝に属す」と言われるように、春は肝のエネルギーが活発になる季節。 気温や日照時間の変化、環境の刺激を受けやすい春は、ワンコの情緒や自律神経にも大きな影響を与えます。

この記事では、“肝”と春の関係をテーマに、ワンコのストレスサインや日常に取り入れられるケア習慣について、東洋医学と現代の視点からやさしく解説します。

肝と春の密接な関係:東洋医学で見る“気の上昇”

東洋医学において「肝」は、

  • 気(エネルギー)の流れをコントロールする
  • 感情(とくに怒り)と密接に関係する
  • 筋肉や腱、目の働きを調整する などの重要な役割を担っています。

そして春は、冬の間に内にこもっていた気が外へと“のぼる”季節。 自然界では芽吹きや成長が起こり、エネルギーが活性化しますが、 その影響を一番受けるのがこの「肝」なのです。

肝の気がスムーズに巡っていれば問題ありませんが、 過剰に高ぶったり、逆に滞ってしまうと、

  • イライラしやすい
  • 神経過敏
  • 落ち着きがない
  • 筋肉がこわばる など、ストレス反応として現れやすくなります。

ワンコもまた、この春のエネルギー変化に敏感に反応する動物。 特に環境に敏感な子や、高齢犬、感受性の高い子は、肝の影響を強く受けやすい傾向があります。

ワンコのストレスサインは“肝”の不調かも?

「春になってから落ち着きがない」
「目つきが鋭くなった」
「やたらソワソワしている」

これらの行動変化は、“肝の気”が高ぶっているサインかもしれません。

▶ よく見られる行動変化

  • リードを強く引っ張る
  • 急に吠える頻度が増える
  • 夜中に落ち着かず歩き回る
  • ごはんの食いつきが悪い
  • 目が充血していたり、乾いて白っぽく見える

こうした行動の裏には、 「肝の疲れ」「気の滞り」「自律神経の乱れ」など、 身体の内側の不調が関係していることが少なくありません。

東洋医学では、ストレスは“気滞(きたい)”と呼ばれ、 この気の滞りが肝に影響するとされています。

春にできる!肝と気を整えるストレスケア習慣

では実際に、どのようにして“肝の気”を整え、 春を心地よく乗り越えることができるのでしょうか?

ここでは、日常に取り入れられる実践的なケア習慣を紹介します。

▶ 肝経ラインを活用したタッチケア

肝経は、前足の内側〜胸部に沿って流れています。 このラインをやさしく撫でることで、肝の気を整え、自律神経に穏やかな刺激を与えることができます。

【ポイント】

  • 前足の内側を手のひら全体で包み込むように
  • 脇の下〜胸の横にかけて円を描くように撫でる
  • 背中中央の「督脈」と併用するとさらに効果的

リズムは「ゆっくり・ふかく・ため息のように」。 ワンコの呼吸に合わせて行うと、リラックス効果が高まります。

▶ 食事でサポートする春の養生

春におすすめの食材は、「酸味」「緑色」「軽やか」がキーワード。 これらはすべて、肝の機能を助け、気の巡りを促進する働きがあります。

【おすすめ食材】

  • 鶏レバー:肝血を補い、目や筋肉のサポートに
  • 小松菜・春菊:血の巡りを促し、イライラ感を和らげる
  • 春キャベツ:消化を助け、気の流れを整える
  • 黒ごま・クコの実:肝腎同時にケアできるパワーフード

煮る・蒸すなど、身体を冷やさない調理法で取り入れるのがポイントです。

▶ 春の散歩は“ゆるやかに整える”がキモ

春は活動的になりやすい一方、興奮や刺激も入りやすい季節。 だからこそ、散歩中は「落ち着くリズム」を意識することが大切です。

【散歩の工夫】

  • 朝の静かな時間帯を選ぶ
  • 歩くテンポを一定に保つ
  • ストップ&ゴーを減らす
  • 気分転換の“立ち止まりスポット”を散歩ルートに

興奮を抑えるというより、巡らせて、整えるのが春散歩のコツです。

東洋と西洋の視点から見る“春とストレス”

▶ 東洋医学的視点

東洋医学では、春は「肝の季節」とされ、気の上昇に伴う感情の不安定さが出やすいと考えられています。 そのため、肝を冷まし、気を巡らせ、情緒を整えるケアが重要です。

また、「肝は筋をつかさどる」ため、肝が疲れると筋肉がこわばりやすく、 お散歩での引っ張り癖やジャンプ癖にも影響します。

▶ 現代医学的視点

現代医学では、季節の変化は「自律神経の乱れ」「ホルモンバランスの変動」「睡眠の質の低下」などを引き起こしやすいとされています。

特に春は、メラトニンとセロトニンのバランスが不安定になりやすく、 それが感情や行動の変化につながると考えられています。

このように、東洋と西洋の視点から見ても、 春はワンコの“情緒と身体”が大きく動きやすい時期であり、 未然にケアすることの重要性が分かります。

肝を整えることで、ストレスに負けない春を

春は新しい出会い・景色・刺激に満ちたワクワクの季節。 でも同時に、ワンコの身体や感情にとっては“大きな変化”の季節でもあります。

だからこそ、肝を意識したケア習慣を取り入れることで、 ワンコのコンディションを整え、毎日を穏やかに過ごせるようサポートできます。

  • タッチで気を緩め
  • 食事で巡りを促し
  • 散歩で気分を整える

あなたの手でできる春の“肝ケア”、ぜひ今日から始めてみてくださいね。

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