「最近、うちの子がやたらソワソワしてる…」
「急に引っ張りが強くなった」
「目の輝きが鈍くなった気がする」
こんな“ちょっとした違和感”を感じたことはありませんか?
それ、もしかすると“肝(かん)”の不調かもしれません。 東洋医学では、春は「肝」が乱れやすい季節とされ、 ワンコの感情・筋肉・自律神経のバランスにも深く関係しています。
この記事では、東洋医学の視点から、 “肝の疲れ”がワンコの行動や身体にどう現れるのか、 そしてどうケアすれば良いのかを詳しく解説します。
春に乱れやすい“肝”こそ、落ち着きのなさや筋緊張のカギだった
結論から言えば、 落ち着きがない・緊張しやすいワンコの多くは“肝”のバランスが崩れている可能性があるということ。
“肝”とは、肝臓そのものではなく、 東洋医学で言う「感情・筋肉・目・自律神経の調整機能」を含む概念です。
春は「肝」のエネルギーが活発になる季節。逆に言えば、 肝がオーバーワークになったり、巡りが滞ることで問題が起こりやすくなる季節なのです。
なぜ“肝”がワンコの情緒や筋肉に関係するのか?
▶ 背景・東洋医学の考え方
東洋医学では「肝は疏泄(そせつ)をつかさどる」とされ、 気や血の流れをスムーズにする役割を担っています。 また、「肝は筋をつかさどる」ともいい、 筋肉・腱・関節の柔軟性や動きとも関係。
感情面では、「怒り」や「興奮」と関わっており、 肝が乱れると情緒が不安定になり、イライラしたり、緊張が抜けなくなることがあります。
つまり、肝が疲れていたり滞っていると、
- 興奮しやすい
- 筋肉がこわばる
- 引っ張り癖が出る
- 夜も落ち着かない
- 目の輝きが鈍る といった状態として現れることがあるのです。
▶ 現代医学・科学的根拠とのリンク
「肝=自律神経・筋肉・感情の調整」 という東洋医学の概念は、 現代医学でも“交感神経の過活動”や“自律神経のアンバランス” として説明できます。
興奮状態が続くと、
- 筋肉が緊張して血流が悪くなる
- 消化機能が落ちる
- 眠りが浅くなる
- 目が乾きやすくなる
こうした状態は、まさに「肝の疲れ」と一致します。
また、筋肉の緊張はファシア(筋膜)の硬直とも関係しており、 慢性的な興奮や緊張は“身体に感情が蓄積する”現象としても研究が進んでいます。
ワンコに見られる“肝の乱れ”の具体例とケア方法
▶ 日常での例
- お散歩で引っ張りが急に強くなった
- 寝つきが悪く、夜中にウロウロする
- 他の犬や音に敏感に反応する
- 背中や太ももに触れるとピクッと反応する
- 目が乾いて白っぽく見える
これらはすべて、“肝”に負担がかかっているときに現れやすいサインです。
▶ ケアのアドバイス
- 肝経ライン(前足の内側〜胸横)をやさしく撫でる
- 夜は間接照明にして落ち着いた空間を作る
- お散歩のテンポを「ゆっくり・リズム良く」に整える
- レバーや緑黄色野菜を活用し、肝を補う栄養を意識
- クールダウンの時間をしっかりとる(寝る前の撫でケア)
春は活動量が増える一方、興奮や刺激も入りやすい時期。 「休ませてあげる」ことが、肝をいたわる最大のポイントです。
▶ 裏付けとなる東洋・西洋両面の視点
- 東洋医学では「肝は春に応じる」とされ、 春の肝過剰を防ぐために“緩める”“冷ます”ケアが勧められています。
- 西洋医学では、春はセロトニンとメラトニンのバランスが乱れやすく、 情緒不安定や睡眠の質低下が起こりやすいとされています。
これらをふまえて、肝ケアは「環境」「接触」「栄養」の3つのバランスがカギです。
季節に合わせた“肝ケア習慣”で春を快適に
▶ 食材とレシピ:春の肝をサポートする食養生
春は「酸味」「緑色」「軽やかさ」がキーワード。これらはすべて“肝”を助ける要素です。
【おすすめ食材】
- 鶏レバー:肝血を補う代表的食材
- 小松菜・ほうれん草:血の巡りを助け、春の目のケアにも◎
- 春キャベツ:解毒・巡り促進・消化サポート
- 黒ごま・クコの実:肝腎を同時にケアできる養生食
【簡単レシピ例】
- 鶏レバーと小松菜のおじや(ごま油で風味付け)
- 春キャベツと豆腐のスープ(クコの実を浮かべて)
▶ タッチポイント:経絡と“肝”を結ぶ触れ方
肝経は、前足の内側から胸部へと流れるラインに沿っています。
【ケアポイント】
- 前足の内側(肘のあたり)をなでるように触れる
- 脇の下〜胸横を優しく包むように
- 背中中央から腰までの“督脈”ラインも併せて撫でて緩める
ポイントは「速さ」より「リズム」。 ゆっくりと深い呼吸に合わせると、ワンコも自然にリラックスしていきます。
▶ 散歩の工夫:肝のエネルギーを“のぼらせない”ために
春は気温も光も高まり、肝の気が“上昇”しやすくなります。 それはつまり、興奮・怒り・イライラ・落ち着きのなさに直結します。
【おすすめの散歩術】
- 朝の早い時間帯、静かな道を歩く
- ストップ&ゴーを減らし、一定のテンポで歩く
- 途中に“立ち止まりゾーン”を設けて呼吸と視線を整える
興奮しやすい子ほど、「歩かせる」よりも「落ち着いて歩く」ことを大切にしてください。 結果的に、体も心もクールダウンしやすくなります。
肝を整えることは、春を心地よく過ごす秘訣
結論として、 落ち着きがない・筋肉が硬い・緊張しやすいワンコほど“肝ケア”が必要です。
肝を整えることで、
- 気持ちが落ち着く
- 筋肉の柔軟性が上がる
- ストレス反応が減る
- 目に輝きが戻る
という変化が期待できます。
春という季節は、ワンコの身体と心にとって大きな変化のとき。 だからこそ、“巡りを整える”やさしいケアが必要です。
あなたの手と意識で、 春の不調を未然に防ぎ、ワンコの毎日を心地よく彩っていきましょう。
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